気比神社の奥にある細長い池は「お池様」と呼ばれ、面積は約3ヘクタール、周囲は約1キロメートル。
池の辺には気比神社の主神である「保食大神(うけもちのおおかみ)」が祀られています。昔から伝説が多く、吉兆を予言するとも伝えられています。平時の池の色は深緑色ですが、三瀬大火の際には、それを予知するように赤く染まった、時には枯れ葉のような物が一緒に浮かび上がり、その赤い濁りの箇所と枯葉の多少が火難の位置をも示すと信じられてきました。また、水の色が青くなると洪水が起こる、病が流行るときには、黒く染まった(または、白い泡立ちが水面に湧き起こる)、第4の変化もあった、という言い伝えが残っています。
川から水が流れ込むわけでは無く、雨や雪のみによって水位が保たれているとみられていますが、渇水期にも一度も干上がった事が無いと言われて、その事から竜宮に繋がっているとも考えられてきました。
お池様の付近に砂が多い理由は、庄内砂丘が出来た頃の飛砂が堆積しているもので、そのため、周辺に降った雨がすぐに浸透して池の水位を維持していると考えられます。東北地方では珍しい「小砂丘によるせき止め湖」が形成されています。
春に白い大きな繭型のものが現れ(深山にしか生息しない「クロサンショウウオ」の卵)、「お池のまゆ」「水まゆ」と養蚕の神として信仰を集めましたが、昭和39年6月16日に起こった新潟地震以後、地形が変化し水位が1.5メートル程下がった為か、姿は見られなくなったそうです。また、ヨシアキトンボという珍しい昆虫が群生します。